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特集 2021年の活動を振り返る

松戸プロジェクトII期

 

― 2022年に向けて2021年の活動を振り返る 

 

 

松戸プロジェクト第II期がスタートして2年の月日が過ぎようとしています。スタートした頃は、ちょうど新型コロナウィルスの感染が拡大し、プロジェクトの活動も思うにまかせない時期もありましたが、いくつかの活動の種を蒔くことができました。この特集では、2022年に向けて成果を挙げられそうな活動について紹介します。

 

1.   松戸プロジェクト・コンソーシアムが「アジア健康寿命イノベーション賞2021 新型コロナ対応特別賞」を受賞

 

松戸プロジェクト・コンソーシアム(千葉大学、松戸市、住民ボランティア、株式会社Biz Brew、一般社団法人日本元気シニア総研はれの日サロン、日本老年学的評価研究機構)の「アフターコロナ時代の新たな都市型介護予防モデル:コレクティブ・インパクトによる、オンライン「通いの場」導入の試み」がアジア健康長寿イノベーション賞2021」の「国内最優秀事例」に選ばれ国際選考では大賞こそ逃しましたが新型コロナ対応特別賞を受賞しました。

 

「アジア健康長寿イノベーション賞」は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)および日本国際交流センター(JCIE)が2020年に創設した表彰事業で、健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰するものです。本年は特に、コロナ禍が高齢者に与えている影響の大きさに鑑み、新型コロナ対応特別賞が設けられました。

 

【受賞において高く評価された点】

 

・今後、高齢化がより深刻になる都市部での対策モデルであり、世界的にも関心の高い活動である

・都市部で多様なステークホルダーが協働し、高齢者における社会的孤立の解消という共通した地域課題に効果的に取り組む先駆的事例である。

  ・世界的なパンデミックによる影響に鑑み、コロナ禍において時宜を得た取り組みである。

 

詳細については、下記の関連ホームページを参照ください。

 

Asia Health and Wellbeing InitiativeAHWIN)公式サイト(https://www.ahwin.org/
・日本国際交流センター(JCIE)公式サイト(http://www.jcie.or.jp/japan/

 

 

 

 

アジア健康寿命イノベーション賞のトロフィー

 

 

トロフィーを手にする本郷谷市長と千葉大学予防医学センター教授近藤克則先生

 


2. 松戸プロジェクトの活動が向こう半年にわたり「広報まつど」に掲載

 

「広報まつど」はご承知のとおり松戸市の広報誌で、毎月1日と15日に発行されています。この度、松戸プロジェクトの活動について、令和42月より、月に1回ずつ向こう半年にわたり計6回掲載されることになりました。

 

この連載の経緯は以下の通りです。千葉大学予防医学センターの近藤克則教授らの研究で、新型コロナウイルス流行に伴う活動自粛により高齢者の社会参加機会が失われ、健康被害、介護リスクの増加、介護費用の増加につながることが明らかになってきました。そこで、高齢者の活動を再開させる意識付けとして、松戸市でもイベントや「広報まつど」等で呼びかけようというものです。

 

21日号の内容は以下のとおりです。楽しみにお待ちください。

 

発行日

テーマ

概要

2022.2.1

日本老年学的評価研究機構調査速報値

松戸市で行った健康と暮らしの調査の19年度/20年度の比較から、要介護リスクについて紹介。コロナ後を見据えた健康の回復・意識的な社会参加の必要性を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 通いの場オンライン交流会 ゲストトークの試み

 

2021年7月より松戸PJ団体運営支援チームの呼びかけで、「ゲストトーク」の名の下にオンラインによる「元気応援くらぶ」の交流会が始まりました。これは、コロナ禍のため、対面での集まりを避けるための方策でした。松戸プロジェクト団体運営支援チームの仕事の一つに元気応援くらぶの困りごとの解決をお手伝いすることがあります。とはいうものの、団体支援チームのメンバーが、現在70余りある「元気応援くらぶ」の抱えている問題どころか、どんな活動をしているのかさえ良く知らないというのが実情でした。

 

そこで、手始めに「交流会2021/6/20」に参加された元気応援くらぶの運営者の方からどんな活動をされていて、運営上どんな課題を抱えているのかお話を聞くことになりました。第1回のゲストは1名でしたが、毎月1回の開催を重ねるごとに次第に増え、第7(20221月開催)までに計12団体14名の方が参加されました。

 

参加者は、初めて参加される方、時々参加される方、毎回参加されている方と様々です。「私にできるか?」と心配しながら参加する方もいますし、オンライン会議初体験の方もいますので、初参加の方には、まずは自己紹介・活動紹介から始めています。ずっと参加されている方には事前に話題を絞って話してもらうよう、少しずつお願いしています。会場で開かれる交流会と違って、結論を急ぐ必要もなく、それぞれの団体の活動の様子、課題、コロナ感染対策などの話題をとおして、参加者の各々が団体運営のヒントとされているようです。

 

ちょうど新型コロナデルタ株の流行の只中という事情もあって、オンラインで始まったこの企画でしたが、いくつかのメリットがありました。主催者にとっては、会場の手配や設営の心配がないこともありますし、参加者には出かけていく手間が省け、気楽に参加できることが大きいようです。現在では、ちょっとしたおしゃべりの会のような雰囲気も出てきて、オンラインを介した将来の通いの場の一つの形態を提示しているような気もします。

 

オンライン会議を経験した事がなく尻込みされている方も、会議というと気後れする方も、一度経験されてみてはいかがですか?メンバーがお手伝いします。ご興味のある方は、松戸PJ団体支援チーム堀田(s.horita-shi@jcom.zaq.ne.jp)、黒田(hayami@topaz.ocn.ne.jp)、鈴木(tmfs1019-herbgarden@yahoo.co.jp)までご連絡ください。

 

4. オンラインで集まる! 楽しむ!元気になる! オンラインイベントの開催

 

 

松戸プロジェクトを支えるパートナーによる4つのチームの一つに事業者・団体連携推進チームがあります。このチームは、高齢者の介護予防に寄与していこうと考えている企業や医療福祉関係の方々の専門性を、「元気応援くらぶ」などの通いの場やサロンの活動と結びつけていくことを目指しています。

 

現在チームには、医師、薬剤師、看護師、保健師、管理栄養士、そろばん塾講師、盆踊りサークルの会員、消費生活アドバイザーと多彩なメンバーで構成されています。

 

令和35月よりコロナ禍の下、密になることを避けるため、オンラインでの講習会として専門家の知識や経験を発信しています。当初はそろばんによる脳トレ、栄養指導など月に1 回程度の開催でしたが、オンライン盆踊り指導、オンライン体操教室などテーマも充実し、現在では月に23回開かれています。この2月には消費者被害についてもテーマとして取り上げる予定です。ご興味のある方は同チーム阿部(abe@matsudo-npo.org)までご連絡ください。

 

5. 「矢切元気体操オンライン」が松戸市健康マイレージとタイアップ

「健康松戸21応援団といっしょに秋の健康フェスティバル2021」で、松戸PJパートナーオンライン推進チームの協力の下に始まった「矢切元気体操歌う会」の元気体操がオンラインで生配信されました。

 

「秋の健康フェスティバル」での生配信では、同オンライン体操教室の参加者の特典として、今までは、松戸市健康マイレージの獲得ポイントが1ポイントのところ、5ポイント獲得できるようになりました。このマイレージは、松戸市民の健康づくりのための取り組みで、健康診断や健康増進を促すイベントに参加するとマイレージ(ポイント)を得ることができ、集めて応募するとすてきな特典が抽選で当たる制度です。

 

現在、松戸プロジェクトで開設された「元気応援くらぶ」が70余りありますが、より多くの「元気応援くらぶ」で、活動に参加した際に健康マイレージを獲得できるようにしていきたいと考えています。

 

一方、「矢切元気体操オンライン」は、新型コロナウィスルが流行する中、高齢者の運動不足を解消するために企画されたオンラインによる体操教室です。毎月第1・第3木曜の午前と第4木曜の午後に講師の松戸リーダースクラブ代表ケアトレーナーの野毛先生と会場や個人のパソコンやスマホなどを結んで開催されています。興味のある方は、菊谷(メールgxddc522@ybb.ne.jpまたは☎ 090-7234-2795)まで連絡してください。

6. オンライン体験講習会開催

 

新型コロナウィルスの流行が始まって以来、人々が実際に集まって「元氣応援くらぶ」などの通いの場を開くことが難しくなっています。この様な状況の中、仮想空間で人々の集まりを可能にしたのがZoomをはじめとするWebビデオ会議サービスでした。

 

初めは抵抗があっても、使ってみればなかなか便利なもので、このシリーズの「ゲストトークの試み」の項でも触れていますが、会場に出向くための労力、時間、交通費がかからない、会場の手配や費用が不要、近隣の人々だけでなく遠く離れた所に住む人を含めて通いの場を開くことができるなど多くの利点があることがわかりました。

 

問題なのは、スマホ、タブレット、パソコンに不慣れな高齢者にはハードルが高くて初めの一歩が踏み出せないことです。そこで、オンライン体験講習会(松戸市から日本老年学的評価研究機構への委託事業)が令和3年10月から令和4年3月にかけて開かれています。

 

講習会では、受講者を2グループに分けて、タブレットを貸与し、各々57週間かけて実際に体験しながらオンラインの活用方法を学んでいただいています。

 

去る12月7日には第一陣のグループが全カリキュラムを終えて卒業しました。講習会は大変好評でしたが、受講期間がもっと欲しい、自身のスマホへのアプリのインストールをフォローして欲しい、困った時の相談に対応してほしいなどの声もありました。使用しなければ忘れてしまうことの対策や支援体制も整えていかなくてはならないと考えています。

 

 

 

7. プロボノワーカーとして社会に貢献、そしてプロボノを利用して「通いの場」が活性化

 

プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「pro bono publico」の略で、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般を指します。松戸市では、松戸プロジェクトの一環として松戸市、千葉大学、認定NPO法人サービスグラントが協働して、これらのボランティア(プロボノワーカー)の発掘と、プロボノワーカーの支援を受けたい「通いの場」や地域サロンとのマッチングをしています。

 

プロボノの取り組みを開始した2017年と2018年は秋にチーム型での活動を実施していましたが、支援先のニーズに機動的に対応してほしいとの要望が寄せられたため、2019年からは通年で個人が団体を支援するGRANTの仕組みを活用する方式に変更しました。支援先は、元気応援くらぶやボランティア団体で、これまで30以上の団体に向けて延べ約60名のプロボノワーカーが活動を行っています、

 

主な支援内容は、イベントの講師、ホームページ、Facebook、魅力的なチラシやパンフレットによる情報発信、団体の活動についてのニーズ調査、市への活動報告書作成や会計処理の自動化などで通いの場の活動の活性化に成果を上げています。支援を受けた団体からは、「これまで解決しなかった課題について、短期間で、具体的なアクションを伴ったサポートが得られた」、「プロボノ参加者との対話・交流を通じて、自団体の取り組みを振り返ったり、今後の活動を展望するきっかけにつながった」との声を多数いただいています。

 

詳しくはhttps//grant.community/matsudoにアクセスしてみてください。

 

 

8. ハイブリッドで「元気応援くらぶ」交流会

 

去る6月20日(日)、市民会館301会議室の会場参加者とオンライン参加者とを結んで、《元気応援くらぶ》交流会が、開催されました。参加者は、一般の方と関係者を合わせて38名で、大盛況でした。

 

当日は、交流会を企画・運営した松戸PJ団体運営支援チームの堀田さん、松戸市福祉長寿部の中沢参事監、松戸市地域包括ケア推進課の川鍋愛美課長、千葉大学予防医学センター教授近藤克則先生の挨拶やビデオメッセージなどの一連のセレモニーの後、交流会の本題に入りました。

 

1部は、三つの「元気応援くらぶ」の事例発表でした。皆さんの元気応援くらぶのプログラムのお役に立てばと企画したものです。

 

「イキイキ運動矢切教室」の黒田さんは、音楽回想法と軽体操を組み合わせた活動をされています。昭和の歌謡曲を中心としたレコード音楽を聴いたり歌ったりしてその当時の自分を思い出したり、また曲に合わせて体操したりをすることが、心身の活性化、認知機能の維持に役立つそうです。

 

「まつど☆笑いヨガクラブ」の橋本さんが紹介されたのは、意識的に笑っても、自然に笑うのと同じ健康効果が得られるとの説に基づいて、笑い体操とヨガを組み合わせた活動です。対面やオンラインをとおして実践されていて、その模様を紹介してくださいました。また、会場での実演もありました。

 

「矢切元気体操と歌う会」の菊谷さんは、コロナ禍の中で、密にならずに元気応援くらぶの活動を続けていくためのアイデアの紹介でした。オンラインを利用して、会場を分散させた形での体操教室や防災教室の模様が紹介されました。また、これらのオンラインを通した活動に必要な設備について解説もありました。

 

休憩を挟んで、第2部では、事業者・専門団体連携推進チームの阿部さんから、このチームに連携する事業者や専門団体が提供するオンラインを介した栄養指導やそろばん教室などのプログラムの紹介がありました。その後、情報発信・広報チームの小川から松戸プロジェクトホームページへのアクセス方法について説明がありました。ニュースレターの他に、ホームページの運用でも広報活動を広げて参りますので、ホームページの情報もご活用ください。

 

3部は、困りごと相談でした。元気応援くらぶを運営していれば、様々な問題や悩みを抱えることになります。これらを解決するにはどうすればいいでしょう。最初に答えてくださったのは、「プロボノ」で社会貢献を目指す認定NPO法人サービスグラント代表理事の嵯峨さんでした。「プロボノ」とは「公益善」を意味するラテン語「Pro Bono Publicoを語源とする言葉で、社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動を意味します。嵯峨さんは、プロボノワカーが携わったチラシ、パンプレット、ホームページ等の広報、報告書作りのためのEXCELの導入、講師募集の元気応援くらぶの活性化の方法を紹介してくれました。また、「イキイキ運動矢切教室」と共に、クロダマハウスを運営する黒田さんは、公的助成金の獲得方法、活動のマンネリ化を回避する方法、コロナ禍の下での活動方法について詳細に説明されました。

 

最後に、会場に見えた元気応援くらぶ代表の方々から、活動の概要のお話があり、盛況のうちに閉会しました。

 

 

「まつど☆笑いヨガクラブ」の橋本さんによる実演の風景

 

 

9. 《松戸市の課題のひとつ》 高齢者ボランティアをどうやって増やす

2021522日(土)の午後、オンライン形式で松戸プロジェクトワークショプが開催されました。今回のワークショップのテーマは、「松戸市での高齢者のボランティア活動の参加率を上げるにはどうすれば良いか?」でした。

 

このテーマが選ばれたのには、次のような背景があります。千葉大学予防医学センター教授近藤克則先生たちが全国64市町村を対象として行った健康長寿についての地域診断を行っています。その結果、松戸市での高齢者のボランティア活動への参加率が他の市町村に比べて決して高くないことが明になりました。そして、この参加率が低い市町村では、幸福感のある高齢者が少なく、認知症になるリスクのある人が多くなる傾向が認められています。そこで、松戸市での高齢者のボランティア参加率を上げ、幸福感の低下や認知症リスクを改善するための方策を話し合いました。

 

ワークショップでは、ボランティア活動の参加者が少なくなる要因として思いついたものを挙げ、続いて、それを改善するための方法を考えました。実際のワークショプは、6つのグループに分かれて行われましたが、ここでは、まとめたものを報告します。

 

参加者が少なくなる要因として一番多く指摘されたのが、「ボランティアについての情報不足」で、列挙された全要因のうち26%に上りました。これには、「ネット環境が整わず情報にアクセスできない」とか、「情報がセンターのような所に集約していないので利用しづらい」という意見も含まれています。

 

次に多かったのは、「ボランティア活動をする意思はあるけれど、どうして良いかわからない」と「既に出来上がっているボランティアグループに一人で参加するのはハードルが高い」といった意見で、共に全体の22%を占めていました。その他、「ボランティア活動が楽しいなどメリットが伝わっていない」という意見も少なからずありました(14%)。

 

「情報不足」の改善策としては、インターネットの利用、駅やバス停での掲示などあらゆる手段を講じていくことが提案されました。この他の課題の改善策としては、「友人に誘ってもらう」、「ボランティア活動の経験談を語ってもらう」というアイディアが提案されました。これらのアイディアは、共に関係しあっています。例えば、友人に誘ってもらうことで、参加の方法がわかったり、参加する際の心理的なハードルが下がったりするかも知れません。また、体験談を聞くことは、参加するきっかけを作ったり、ボランティア活動のメリットを理解したりする上でも役立つと思います。これとは別に、ボランティア活動に対して何らかのポイントや地域通貨が付与されたらいいとの妙案も提起され注目を集めました。

 

地域診断の詳しいことは、松戸プロジェクトホームページ(https://www.matsudo-project.com)に動画としてアップされています。(ブログ→2021/10/23の記事を参照してください)

10 グリーンスローモビリティをご存知ですか? 河原塚地区と小金原地区で効用の実証調査

 

 

グリーンスローモビリティは、電動で時速20 km以下で公道を走る公共輸送手段です。長い言葉なので、通常、略してグリスロと呼ばれています。これは、GreenCO2の排出量の少ない)、Slow:(ゆっくり)、Safety(安全)、Small(小さくて狭い道でも大丈夫)、Open(窓がなく開かれている)、の頭の音をつなげた言葉です。

 

グリスロは、近年、高齢者の移動手段として着目を集めています。歳をとると足も痛い、腰も痛いと具合の悪いところが増え、日常の買い物もままならなかったり、ちょっとした集まりに出かけたくても思うようにならなかったりですが、グリスロが問題の解決手段としての一つとして期待されています。

 

松戸市においても、グリスロの効用についての実証調査が行われました。千葉大学予防医学センターとヤマハ発動機株式会社との間で協定が締結され、令和310月から12月の約2か月にわたり、河原塚地区(4町会)と小金原地区(20町会の2地区で実証調査が実施されました。松戸プロジェクトとしては、千葉大学予防医学センターが、高齢者の移動と健康に関連する検証を行っています。

 

河原塚地区の実証調査では、同地区内にある四ヶ所のスーパーマーケット、グラウンドゴルフの会場、子ども食堂までの送迎コースが組まれました。河原塚南山自治会のシニアクラブ役員で、松戸プロジェクトの団体支援チームの堀田さんの話や、同自治会に寄せられた試乗体験談によれば、多くの利点があるようです。低速走行のため他の交通の妨げになるのではと危惧していたが、その様な心配もないとのこと。音も静かで乗り心地も良く、同乗者間でのおしゃべりも弾むとのことでした。単なる移動手段ではなく住民同士の交流の場になっていて、乗車することを楽しみにされている高齢の方もいらっしゃったようです。スーパーマーケットへの送迎の際には、駐車場で1時間ほど待っていてくれて、十分に買い物の時間が確保されているそうですし、また、お米など重い荷物がある場合は自宅前まで送るなど配慮されているそうです。

 

また、体験記では今後の課題についてもご意見をいただいています。今回の実証調査では、運行スケジュールもしっかり組まれていたとのことですが、今後、運行の管理者や運転手の確保が課題になるのではとのご意見もいただきました。その一方で、こういった人材の開拓が町おこしにつながるのではとの感想もいただきました。

 

グリスロが普及すれば、高齢者の日々の生活の活性化に確実につながると思われますし、この移動手段自体が一つのコミュニケーションの場になるかもしれません。(写真 グリスロの試乗会の様子)